2013年2月10日日曜日

表銀座縦走{燕岳・東天井岳・大天井岳・横通岳・常念岳・蝶ヶ岳}

雪が降ったら山はお休みと思っていた。
縁があって大学山岳部で活躍した人と北アルプスに行く機会があった。
その時「技術があれば山は幾らでも楽しめる」と言われたことが心に残った。
ハイキングの帰りに偶然立ち寄った山岳施設で「雪山講習(5)」の募集パンフレットを貰ったのはそれから間もなくだった。
縁があったというか、勢いでというか、すぐに応募した。



夏山を始めたばかり、それがいきなり雪山講習ときたのだから早計だったのだが、
山の恐ろしさを知る機会となった。

明日で講習終了という晩の21時頃受講生が雪洞から滑落した。
雪洞には大量の雪が必要なので雪が少ない時は傾斜地を利用する。
斜面を50㎝ほど削って通路を作り、雪洞4基トイレ2基を通路に並べた。
滑落は、雪洞を出てトイレに行こうとして起こった。
雪洞を出る際は靴とアイゼンとピッケルを身につけるよう注意を受けていたのだが、テントシューズのまま出て凍結した通路で滑り100m下に滑落した。
運よく助けを呼ぶ声を聞きつけ、講師6人受講生10人が時間かけて救出した。
その夜は遭難女性に付き添った。

後日分かったことだが、落ちながら途中の立木につかまったもののスピードがついていたので放り出されてしまい、右肩の腱が延びてしまったそう(引っ張られ症候群)。腕の感覚がなかったようで腕がある、ついてると一晩中繰り返し、可哀そうだった。
朝一番に救助ヘリが来て病院に運ばれていった。
講習登山から仲間の遭難、仲間の救助活動、ヘリによる搬送、遭難現場に直面したショックは大きく山は止めようと思った。
「講習は出発点、これからあなたの山の楽しみが待っています。続けてください。」
講師の最後の挨拶は胸を打った。

2ヶ月後、表銀座を歩いた。

5/08 10:30中房温泉登山口…14:20号戦小屋…15:30ツバメ山荘

5/09 
燕山荘7:00…7:30ツバメ燕山荘8:00…大天井岳12:00…横通岳15:00…16:00常念小屋

5/10 
常念小屋6:30…常念岳7:30…蝶槍蝶ヶ岳9:50…横尾12:30…上高地15:40…平湯16:20


高度1600mから雪が出てきた。
高度1800mからは急勾配にあえいだ。
合戦小屋は屋根の高さに雪で覆われていた。
曇っていた空に薄日が差し始めると槍ヶ岳も燕岳も
姿を現し、燕山荘に着くころには青空がのぞいた。
翌日は快晴の朝が明けた。燕岳標高2763mから
槍ヶ岳、後立山連峰を展望する。
「今年は例年に比べて三週間雪解けが遅れているので気を付けてください。」と注意を受け燕山荘を後にする。

さすがに表銀座、アルプスの名だたる山々が屏風を立てたように並ぶ豪華な展望、雄大で美しい。
蛙岩を例外に稜線は雪がなく全体的に夏道の7割は出ていたように思う。
大天井岳標高2922mと常念岳は夏道を行かずに直登したがワカンやアイゼンは必要なく雪庇を踏み抜く心配もなかった。
ただ夏道が途切れる辺りでトレースに迷いがあり、ルートが判りづらかった。
この日はたっぷり時間を使って展望や雷鳥たちのおでましを楽しんだ。

常念小屋の泊まりは私たち二人だけだった。
大雪の影響で一ノ沢ルートは雪崩の危険で通行できずゴールデンウイークも登山者がなかったそう。

翌日、強風の中ガスをついて常念岳標高2857mと蝶ヶ岳標高2677mに登り上高地に下山する。
ガスの常念岳からゴーロを下り蝶槍へ進むと途中から残雪が多く、
ルーファイに神経をつかう。ルート中一番の難所は蝶ヶ岳から横尾への下山だった。
尾根自体顕著な尾根とは言えず、主稜からの出だしも遅く、赤布も非常に少ないために
トレースの迷いがあちこちにあって、ルート判断が難しかった。
樹林帯に入ると積雪50センチ、この雪の状態が悪くたびたび踏み抜いた。
ホトホト嫌になったころ横尾山荘の右手から登山道に出た。

2006-05-08~10 登山

標高順位 30位大天井岳2922m/45位常念岳2857m/58位東天井岳2814m

        73位横通岳2767m/76位燕岳2763m/96位蝶ヶ岳2677m

百名山 常念岳100/11座  

二百名山 燕岳100/2座  ,大天井岳100/3座







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