2013年2月10日日曜日

立山から笠ヶ岳縦走{龍王岳・薬師岳・黒部五郎岳・双六岳・抜戸岳・笠ヶ岳}

 
21日 剣沢のテン場より9:00室堂に下りてきた。
明日からパーティを組む仲間と汗を流して会いたい、室堂山荘に宿泊する。
チェックイン時間を待つ間、リーダーへのことづけを一ノ越山荘に届けに行く。
盆は過ぎたというのに雄山参拝の人波が室堂からずっと引きも切らない。
これほどの人気とは思い及ばなかった立山信仰登山、歴史の重さを感じる。改まった気持ちで大汝山まで足を延ばした。

22日 7:00室堂山荘から真直ぐに石畳の登山道を浄土山に向かう。

富山大学登山研究所の広場でアルプスの展望を楽しみながらY さんとIさんの二人を待つ。
きょうの目的地五色ヶ原は指呼の間に見えている…が。
五色が原
薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳これから辿る峰々が青空に、呼んでる!

「竜王岳2,872m日本標高第38位」
富士ノ折立から浄土山を経由してYさんとIさんが到着。目前の龍王岳を踏んでから縦走路に向かう。
鬼ヶ岳・獅子岳のアップダウン、残雪、花畑など楽しく歩いてザラ峠に着く。
佐々成政伝説が残る峠、腕を広げると涼風がシャツの袖口から体を吹き抜けていくのが心地いい。
峠からきつい上りで木道に乗ると広がる大草原、一瞬に開放感に満たされる。五色ヶ原山荘の赤い屋根が見え、小屋脇に据えられた酒蔵の大樽に水が満々と流れ込み溢れでている。
潤沢な水のおかげで五色ヶ原山荘にはお風呂がある。
間山
湯あみの後は…もちろんお山の庄助さん。

23日 後立山連峰、赤沢岳から朝日が昇る。
今日もいい天気、越中沢岳まで来ると既に暑くなる。
これよりスゴノ頭まで続く急勾配の上り下りは我慢のしどころ。
スゴ乗越小屋でIさんが休養宣言。
リーダーはIさんを信じて、マイペースで歩かれるが良かろう、
と判断をされたのでしょう、リーダーと2人先行する。
間山の上りはカンカン照りでからきし暑さに弱い私には厳しくって
北薬師岳直下はゴーロ帯、リズムを保って石の頭を拾って登って行くと
左手に金作谷カールを抱えた北薬師岳に着いた。
北薬師岳から痩せた尾根を慎重に進むと薬師如来が祭られた祠のある頂上、いえ~い、薬師岳到着。
「薬師岳2,926m日本標高第27位」

北薬師岳の稜線で4人パーティに出会い、明るくことばを交わした。
後で聞いたところによると昨日彼らはスゴ乗越小屋スタッフの救助を受け
小屋入りしたそうで、この日も日没までに薬師岳山荘に到着しないので
事情を知る人達が大変心配されていた。
我パーティのIさんは15:00過ぎ薬師小屋から見上げる稜線に姿を見せ、
リーダーに安堵の表情が浮んだ。

24日 今日は太郎平を経て黒部五郎小屋まで行く。
三八豪雪の薬師岳遭難。愛知大生がベースキャンプを張った辺りに
遭難碑の代わりの特大ケルンが積まれオレンジのキスゲが咲いていた。
沢沿いの段差の大きい歩きにくい登山道を下っていくと冷たい水が勢いよく湧きだし、きれいなトイレのある薬師平キャンプ場に着いた。何杯もお変わりして水筒に汲んだ。

峠を上りつめると太郎平兵平、晴れ晴れと伸びやかな大草原を二筋の木道で辿る。
太郎平小屋の衛星電話を借り、家族に順調な山旅を続けていると伝える。
神岡新道分岐、私のアルプス始めはこの分岐から飛越トンネルに下山したのだった。
あれから6年今日は遥々九州から遠征のYさんIさんと歩いている。
たおやかな北ノ俣岳から眺める景色に飛越新道を上ってくる登山者が映った。ふと“もう一度北ノ俣の避難小屋に行ってみたいな”という気になる。
登山道が山腹を巻いている赤木岳、リーダーについて岩の重なりを2分も登ると狭い山頂にでた。真ん中にケルンが積まれていた。

「黒部五郎岳2,840m日本標高第51位」
黒部五郎岳に薄いガスがかかり始める。
縦走路から肩に上りゴーロの稜線を岩の重なる黒部五郎岳の頂に上る。
カール越しに水晶岳、鷲羽岳、雲ノ平を展望。
雪渓に小熊がいたらしいが棲みかに戻ったよう、
五郎のカールは動物にも旅人にも桃源郷。
YさんIさんはカール庭園の清流で旅の疲れを拭って気持ち良さげ。
黒部五郎小舎ベンチで過ごすたっぷりの午後、落ち着いた時間が流れた。

25日 朝1で登りは苦しい、急勾配を迂回路に廻ってゆっくり登る。
稜線に出るとチングルマの群落に出会う。
風車のように向きを揃えた穂に蜘蛛の糸の様に降りた朝霧、
キラキラと辺り一面が繊細な輝きに揺れて夢のよう。
長野、富山、岐阜の三県堺の三俣蓮華岳はガスで何も見えない。
双六岳で期待の景が待っていた。
天を突く槍の穂先を目前に広大な双六岳の稜線漫歩。
幾度見てもその度新たな感動に包まれるアルプス展望のハイライト。
「双六岳2,860m日本標高第44位」

弓折乗越で鏡平に下る2人とお別れ。一人笠ヶ岳に向かう。
弓折岳から20分樹林帯を下っていくと大ノマ乗越に、かつてここから小池新道のシシウドが原まで雪渓通しに下ったことがあった。垂直に見える10mの雪壁をバックスッテプで下った恐怖体験を思い出してしまった。
仲間と一緒に楽しく歩いた後だから淋しくなって余計なことを考える。

秩父平からカール壁を抜戸岳のギザギザの岩峰群を見ながら登っていくと笠ヶ岳へ続く稜線に出た。
抜戸岳を示す道標からハイマツと岩の斜面をペンキマークを頼りに20分で抜戸岳山頂に出た。
展望360度、槍ヶ岳から西穂まで角度の違いか、一味違う展望が味わえた。
「抜戸岳2,813m日本標高第59位」

26日 雨あがる朝、槍ヶ岳から真っ赤な太陽が登った。
笠が岳山荘から10分で幡隆聖人を祭る山頂祠の前に出た。安全祈願をして視線を上げると笠ヶ岳が薄もも色したシルエット影笠ができていた。
「笠ヶ岳2,897m日本標高第34位」

クリヤ谷ルートは他に出会う人のない静かなルート、梓川を展望しながら次々と岩峰の山腹をトラバースして行く。
雷鳥岩は想像した以上に大きく一目であれだなと見当がついたけれど?
どうみても雷鳥には見えない。
ペアリングのシーズンに雷鳥が止まって縄張りの監視をする岩かも…
一服しましよう。
道々摘んできた完熟木イチゴをほおばるとジュワーと甘い果汁が口に広がる!
いかにも熊が好みそうなところが随所にあって笛を吹いたり、
歌を歌ったり、木霊を呼んだり忙しくて、怖かった。
そろそろ錫杖岳が見えないかなと期待しながら沢を数回徒渉する。
ぐんぐん下ってやっと特徴ある岩峰が樹幹から垣間見えた。

この辺りから笹が刈払されて歩きやすくなった。
岩屋には焚き火の跡があった。
錫杖岳の取り付きに赤布が見えた。
登山道が山腹を巻いて谷を離れ尾根に乗ると槍見館の向かいの登山口に出た。

8/21剣沢天幕場5:45…6:34剣御前小舎…8:56室同ターミナル・・・室堂山荘
   …一ノ越山荘…小山…大汝山…14:00室堂山荘

8/22室道山荘7:30…8:00浄土山…8:30富山大学登山研究所…(YさんIさんと合流)
   …10:10竜王額10:15…11:45獅子岳12:10…ザラ峠12:57…13:43五色ヶ原山荘

8/23五色ヶ原山荘5:00…5:32飛山5:38…6:55越中沢岳7:09…8:10スゴの頭
   …8:40スゴ乗越…9:25スゴ乗越小屋9:50…10:40間山10:49…12:00北薬師岳
   …12:46薬師岳13:13…13:50薬師岳山荘

8/24薬師岳山荘5:30…5:55薬師帯6:00…6:25薬師峠6:40…7:00太郎平小屋
   …7:20太郎山…8:35上岡新道分岐…8:40北俣岳8:55…9:35赤木岳
   …11:45黒部五郎の肩…11:55黒部五郎岳…12:10黒部五郎の肩12:35…14:10黒部五郎小屋

8/25黒部五郎小屋5:20…6:30三俣山荘分岐…7:02三俣蓮華岳7:20…8:25双六岳9:00
   …9:47双六小屋10:13…11:15弓折乗越…12:12秩父平…13:42抜戸岳…14:40笠ヶ岳山荘

8/26笠ヶ岳山荘5:30…5:40笠ヶ岳山頂6:00…7:13ライチョウ岩…8:41錫杖岳見ながら

9:11…槍見山荘登山口(クリヤ谷)10:00



2010-08-21~26 登山

標高順位 27位薬師岳2926m/34位笠ヶ岳2899m/38位竜王岳2872m

       44位双六岳2860m/51位黒部五郎岳2840m/59位抜戸岳2813m

百名山 薬師岳75座/笠ヶ岳76座/黒部五郎岳5座






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