10月・神無月は日本全国の神様が出雲の国にお集まりになられるそうです。
登山の神様もいらっしゃったようで、早速ご利益がありました。
大山寺参道で一人の男性に声をかけられました。
ユートピアルートが気になって再び大山に戻ってきたことを話すと、三鈷峰まで案内してくださることになりました。
途中で女性二人連れに、追いつかれました。
男性がすかさず、どちらへ?女性が答えて、剣ヶ峯です。
えっ…剣ヶ峯に上ってもいいんですか?と私。
ユートピアルートは夏山登山道に比べると荒れた所や難儀なところもありますが、
ブナは一回り大きく、展望も勝ります。
涸沢を詰めて尾根に出るとユートピア避難小屋が見えてきました。
鞍部に下って避難小屋のある尾根に乗り換えます。
三鈷峰(標高1516m)へ左に、尾根を小屋とは反対方向に戻る感じで進みます。
山頂について眼下に広がる景色を眺めていると、男性に「剣ヶ峯に行きたい?」と聞かれました。
頷くと、黙って先に立って歩き、分岐で三鈷峰を背にするとユートピア避難小屋に向かって歩き始めました。
小屋で一服する間、男性に剣ヶ峯のルートの厳しさや注意事項などの指導を受けます。
象ヶ鼻(1550)、1636mピーク、天狗ヶ峯(1710m)と痩せ尾根を越えていきます。
大山の最高点剣ヶ峯には件の 追い抜いて行った女性二人と男性が一人いました。
この男性(Dさんとしておきます)には後で大いに助けてもらうのですが・・・。
山頂に居合わせたこの五人、出雲の登山の神様のお引き合わせとしか思えないのです。
女性たちが先に去り、続いて私たちが剣ヶ峯を後にします。
それを見た男性が、「槍尾根で三ノ沢に出るか!」とつぶやきました。
大山のバリエーションルートは調べてこなかった私ですが、
ここまで案内して貰って、男性を信頼することができたので、同意して付いて行くことにしました。
女性たちも男性の勧めに従って一緒に下ることになりました。
主稜線の痩せ尾根には下りには四つん這いになるのかなと予測する処が一ヶ所ありましたが、
今下ろうとしているこのルートも甲乙つけがたい心臓に悪いルートに違いはありません。
スキーの要領で下ればいいからという男性の後を追って急峻なザレ沢に足を踏み入れたからたまりません。
男性のようにうまくザレの流れを制御できずに、ザレと一緒に奈落に引きずり込まれそうな恐さを覚えました。
女性たちも同じだったようです。
悪戦苦闘の最中、山頂でお会いしたDさんが痩せ尾根をタ・タ・タタ・タッと下って来るのに気が付きました。
沢にいる私たちを見たDさんは一瞬アレレ?と思ったそうですが、仙人(男性)が一緒ならと思い直して、通り過ぎようとします。
待って!這う這うの体で沢ザレを横切ってDさんに助けてもらって尾根に乗りました。
仙人は沢通しに、私たちはDさんに追いて尾根を下って三ノ沢に降りたのでした。
三ノ沢も12号台風でルートがズタズタになってしまったとかで、Dさんのルーファイで広大な河原を右に行ったり左に行ったり、林道にでるのも苦労でした。
それにしても大山の南壁は猛々しく、よくもあそこから降りてきたものだと幾度も振り返り眺めたのでした。
Dさんにお世話になったのはそれだけではありませんでした。
私たち四人、登山口に戻るにはさらに林道を二時間歩かなければならなかったのですが、Dさんの車に乗せてもらって歩きを免除されたのでした。
《旅は道ずれ、世は情け》
仙人のおかげで望外の剣ヶ峯に上ることができました。
仙人、達人、紅さん、緑さん、お世話になりました。
またどこかの山でお会いしましょう!
ユートピア登山口9:20…三鈷峰12:15…ユートピア避難小屋…天狗ノ峰
…13:22剣ヶ峰13:30…三ノ沢ルート…林道下山=車移動=15:45大山寺駐車場
2011-10-10 登山
百名山100/84座
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