2013年11月30日土曜日

大山  弥山(標高1709m)

 
大山は「だいせん」と読んでどこかしゃれた感じがあります。
山名に惹かれて上ることも多い私には長い間登ってみたい山のひとつでした。


夏山登山道の登山口に「一木一石運動」への協力依頼の標識が掲げられていました。
登山者に一人ひとつずつ石を持って山頂に登ってもらい、その石で浸食溝を埋め植物の苗を植えて緑を復活させる。
大山の山頂を崩落の危機から守っていこうという取り組みのようです。
美しい石畳に始まった階段道はハイキングの周遊路から外れると度重なる修復の跡が垣間見える丸太の階段道に変わり、傾斜がゆるむ八合目から山頂まで木道が敷かれています。
木道はダイセンキャラボクの自然林を保護するねらいがあるそうです。



山頂広場には大きな木の舞台がしつらえられ沢山の登山者が思い思いに寛でいました。
「一木一石運動」を担う人々の努力の成果なのでしょう、脆い山肌はこうして守られていると感慨深いものがある一方で、広範囲に地面を覆った整備が本来の目的ではないはずですので息の長い「一木一石運動」の地道な活動に期待し、感謝します。

階段の登山道は別にして一合目から五合目までのブナの樹林帯は見事でした。
五合目を過ぎたところの分岐は今朝歩いてきた大山寺へ下り、ユートピア避難小屋に上る行者谷コースのようです。
開けてくると避難小屋のある六合目に到着します。
三鈷峰やユートピア小屋の稜線の景色、山心をくすぐる眺めにひきつけられます。
切り立った北壁が望まれ、沢沿いに走る多数の崩落が増幅され元谷の大崩落へと続く様子に圧倒されます。




登山当日が、三連休の初日だったこともあるのでしょが、列なす登山者で六合目から渋滞が続きます。
幼子を背負ったお父さん、小学生、中学生、ご高齢の方も、あらゆる世代に愛されている山、大山はそんな山でした。

羽田からの米子便で隣り合わせたのが大山の地元大山町役場に勤めている人達でした。
隣町の伊勢原市と大山(丹沢にある大山は「おおやま」と読みます)が縁の姉妹都市の話や
大山寺の参道に足湯を作っていることなど話題は尽きなくあっという間に米子についてしまいました。
私の予約したホテルが大山町だったのも幸い、便乗させてもらう親切に“こいつは端から縁起がいいやい!”
てな具合に山陰の山旅が始まりました。

2011-10-08 登山

百名山100/84座





2013年11月29日金曜日

南アルプス 光岳(標高2591m→2592m)  

「光岳(てかりだけ)」の山名は、夕日に照らされて白く光って見える石灰岩の岩峰からつけられたそうですが、
光岳のその「光岩(てかりいわ)」ってどんな岩なのでしょう。


最寄駅で仲間の車にピックアップして貰って5人相乗りで14時に出発、初日は登山口の易老渡で仮眠の予定です。
林道赤石線に入ったのは20時を回っていました。
大野集落にさしかかった時、突然車のライトに動物が飛び込んできました。
熊です。子熊のようですが、車内は騒然となりました。
一方の熊は2つ目玉の怪物から逃げようと、(経験浅い小熊には車はそう映ったのかも)車の前を必死に走ります。
脇にそれる余裕もなくライトを浴びて逃げ続けます。
漸く民家の玄関先に飛び込んで難を逃れ、裏山に駆け上ったようでした。
時間にして5分くらいだったのでしょうが、とても長く感じられました。
翌朝、易老渡の登山口に掲げられた熊注意の看板、一層リアルに喚起させられました。

遠山川にかかる橋を渡ると彩づいた雑木の森に急だけれどよく整備された歩きやすい登山道が始まり、
辺りの林相が針葉樹に変わってから3時間、都合5時間で易老岳に到着しました。
南アルプスの森林限界は北アルプスに比べると高く標高2354mの易老岳は針葉樹に囲まれて展望は皆無でした。
三吉ガレで視界が開けましたが展望をえられる程にはよくないこの日の空模様、再び針葉樹の森に分け入ります。
三吉平から涸沢を登る道悪で、腰が痛くなり静高平まで厳しい道行きでした。
面平で一旦ばらついた小雨が、静高平では小雪に変わましたがそれも積もるほどには降りませんでした。
亀甲浄土と呼ばれる苔に覆われた裸地が広がる静高平から一帯、保護を目的に木道が敷かれ矮小植物が亀の甲羅の形に盛り上がっていました。

イザルガ岳分岐を過ぎると木道の先に光岳小屋が見えてきました。
南限とされるハイマツの群落がみられる小屋の周辺、水場は小屋から南面を10分ほど下ったところにあるようです。
この時期は冬季開放小屋になっていて1組の御夫婦が1階を、私達は2階を使わせて貰いました。

一段落して光岳山頂に行ってみます。山頂は針葉樹の木立の中にありました。
山頂先に光岩を眺める切り開きがありましたが、日差しを欠くこの日、思い描いた光岩の光り輝く様子を見る事は叶いませんでした。
ここで諦めてしまったのですが、光岩に行くルートがあることを後々知ることとなり、残念なことをしました。
またいつか、輝く光岩に会いに行きたいと思います。


11/07 最寄駅3:30=相模湖IC15:30=松川IC=20:38易老渡
11/08 易老渡6:00…7:52面平…10:21P2254m…10:46易老岳11:02…12:10三吉平
      …13:09静高平…13:27光小屋13:55…14:06光岳14:19…水場…15:00光小屋
11/09 光小屋6:11…6:20イザルガ岳6:49…8:30易老岳8:45…11:55易老12:22=20:00自宅


2008-11-07~09 登山

百名山100/50座

*光岳の標高は2014年4月、国土地理院の改定により1m高くなり2592mになる。





2013年11月27日水曜日

丹沢 勘七ノ沢(四十八瀬川)


大倉から二股へ林道を1時間10分ほど歩いてから入渓。
すぐにF1を架ける。



F2は右から、「F2」と表示板の付いた下のテラスに上り、落ち口の上に出る。




F3は7mの逆 く の字状の滝。

滝壺の右側をへつって右から滝上に上る。


あるいは左のクラックを上る。




F4は2段12m滝の下段(3m)は右から、上段はシャワーを浴びながら右のルンゼを上る。




今日は沢日和、谷合いにはまだ見事な紅葉が残っていた。




左股を分けると沢が右に曲がって、F5 15メートルの大滝が現れる。


左側のバンドを水流近くまで斜上して…


あとは直上する。
ここは水流沿いを登るのが良いのだが、久しぶりの沢だと必要以上に滑りそうな弱気が働いて、
岩が乾いている左に行きがちで苦戦した。



ゴルジュ帯に入る。
夏の沢であればじゃぶじゃぶと水に入るのだが、この時期は敬遠。これが過ちを生むこととなった。

両脇のの岩の壁は私の手足がギリギリで届くか届かないかの幅、思い切って突っ張りで越えようと試みて、
うまくいきかけた刹那、右足が捩れる変な外れ方をしてドボン。
慌てて立とうとするが右足が立たない。(後日右足の大腿部の肉離れと診断される。 )

仲間に迷惑と苦労を掛けて、苦戦して稜線の花立小屋に辿りつき、大倉に下山したのは22時を回っていた。
山の事故は生還に自己責任で済まない、多大な困難を仲間に負わすことになる。
いまだに歩くこともままならず悔恨の日を送っている。



2013-11-18 登山




2013年11月22日金曜日

丹沢界隈散歩


丹沢の表尾根と西丹沢の山が望めます。

左にポツンと飛び出た山は西丹沢の同角ノ頭です。
大樹と岩の山頂は日本庭園の趣があります。
今は惜しいことに大樹の二本が倒れてしまいましたが、
丹沢の奥深く、ブナの原生林や小さなキレットもあったりして、大好きなピークです。




カルガモが午後の日を浴びてまったりとしていたようです。
私の姿に驚いたカルガモが上流へ泳ぎ出したので初めてカルガモに気付きました。





リンドウが秋空に映えます。
「悲しんでいるあなたを愛する」の花言葉があるようですね。





このリンドウ、なんだか葉っぱが…この時アサマリンドウとは知らなくて、初めての出会いでした。
アサマと聞くと浅間山を思い浮かべますが、アサマリンドウのアサマは三重県の朝熊(アサマ)山からきています。

牧野富太郎博士が高知県の横倉山で発見したのが最初だそうですが、
朝熊山に多かったことからアサマリンドウと命名されました。
九州・四国・中国・紀伊半島南部に分布するリンドウ科リンドウ属の日本特産種です。

*注 アサマリンドウは丹沢にはありません。




そしてハルリンドウ(リンドウ科リンドウ属)
春、塔ノ岳花立へ上る胸突き八丁の階段にいつも咲いていて励ましてもらいます。
この時期はロゼットにしっかりつつまれて冬囲い。
もうあと3~4ヶ月後には花を咲かせます。




センブリ(リンドウ科センブリゾク)日本固有種
小学校の遠足で上った山に一面に咲いていたセンブリの記憶、昨日のことのように思いだします。
それ以来ずいぶん長い時を経て烏尾山の山頂広場で見つけたときは小躍りしました。
草全体に苦味があり、千回振り出してもなお苦いので 「センブリ(千振)」 と、また 当薬(とうやく) ともいわれます。
当(まさ)に薬(くすり) とは効能絶賛、ドクダミやゲンノショウコに並ぶ三大薬草です。
日本固有の生薬ですから漢方薬には用いられていないのです。




ホソエノアザミ(キク科アザミ属)
タイアザミとの区別がつき難いのですが、葉がタイアザミに比べて細く、
富士山やその周辺の山に分布するとあります。
薊は昆虫が止まった振動を感じて花粉を吹き出すと聞いたことがありました。
試しに振動を与えてみたところ、ほんとに花粉が出てきました。




タテハチョウ科ルリタテハ属 食草はホトトギス、サルトリイバラ

塔ノ岳花立下の階段脇にルリタテハが日向ぼっこをしていました。
成虫で越冬するそうですが、暖かい日差しに誘われて出てきたようです。
毛皮をまとうでもなくこのちいさな体で冬の丹沢を耐えるのですね。
しばらく眺めていたら、気配を感じさせてしまったようです、越冬場所に戻っていきました。




シロダモ(クスノキ科シロダモ属)が黄色い花をつけていました。
シロダモは雌雄異株だそうで、写真は雄株の花ですので実(赤い)はなりません。




ガマズミの実をつぶした赤い汁に大根を漬けて、母が一品作ってくれました。
ぱりぱりとした歯触りとさっぱりと酸味の利いたピンクに染まった大根、おいしかった。

青空とガマズミの赤い実と鉄塔、丹沢の山麓はこんな景色があたりまえになりました。





塔ノ岳の大倉登山口を入って


舗装路の終点にのぼり窯があります。
御主人を見かけることはありますが、登り窯はいつもひっそりとして、たくさん積まれた薪が見えます。



ここで右に曲がらないで直進して大倉高原山の家に向かいます。

丹沢は原則キャンプ禁止ですが、丹沢山中の大倉高原山の家の一角にキャンプ場があります。

水も引いてあります。

























大倉高原山の家からの展望です。
手前は大倉の集落、小田原の市街地から続く相模湾、真鶴半島も見えています。

大倉尾根もここまでなら急坂もなく、40分くらいで上ってこられます。




富士山を眺めるには駒止の茶屋や小草平辺りまで足を延ばさなければなりません。

大倉高原から一時間の距離です。
二ヶ所の急坂を上る登山道は階段がめっきり増えて体力勝負ですのでゆっくり上ります。
堀山の家まで来ると大倉尾根を半分上ったことになります。

散歩はここまであとは山登りの領域です。



2013年11月7日木曜日

大杉谷(台高山地)


 
大杉谷に青空が戻って来ました。

吊橋落下の事故以来閉鎖されていた大杉谷は、昨年8年振りに入山許可が下りて奈良と三重両県の通り抜けができるようになりました。(堂倉吊橋から七ツ釡滝間は依然立ち入り禁止)











平等嵓の大垂壁と大吊橋は鳥肌が立つほど美しく恐ろしい、愕然とします。
目で見たままにこの景色を写し撮りたいのですが…とうてい叶いません。





 
「にこにこ滝」なんて…そんな優しい名前でいいのと聞きたくなる程、落差50メートルの豪快な滝です。








めったに見られないらしい幻の二本滝を眺めて、宮川の河原に降りていきます。





楽しみにしていた猪ヶ淵です。期待を裏切らないというより期待以上、感動です。



聳つ岩壁は漆を被せたように潤み、瀞は翡翠色にたゆたう。
身を乗り出して覗くゴルジュの奥に、白い飛瀑が躍っていました。




ゴルジュを抜けた流れは様相一変、上流から押し出された大岩の間を白い瀬頭が走ります。



 
東屋から望む千尋の滝は、お山のてっぺん近くから一気に吐き出される圧倒的な水量、
轟音を響かせて(実際は水勢に恐れ入って音が聞こえたと錯覚したのかもしれません)?
落差160mとか、すさまじい勢いで水が落下していきます。





滝も

木の葉も


友達も

光の演出に輝きます。









京良谷出合下流域の宮川



大日嵓を抜けると安全ゾーンに生還です。


ヤマラッキョウ(ユリ科ネギ属)
晩秋の花の少ない時期に花を咲かせるので、目立ちます。





第三乗船場近く、大台ケ原線の道路からすぐのところにある六十尋の滝。豪快に放物線を描きます。

ハングした岩壁右に蜂が巣をかけていました。しぶきは平気なんでしょうね。



自然の家に大杉谷のルート図がありました。
三重県側 大杉谷ベース、 大台町の大杉谷自然の家です。
宮川第三発電所からここまで2時間歩くつもりが、ここの管理人さんに拾って貰って1時間で済みました。
ありがとうございました。



宮川ダムを渡船で渡っていた時分は一日に六十人が大杉谷に入っていたそうです。
民宿も二軒あって、満員御礼の盛況だったとか、いま住人はお年寄りだけの五人になってしまったそうです。



自然の家の下流、宮川ダムの水門は3基のうちの一つが台風で壊れて現在工事中、ダムは放流中です。
水門が修復できたら渡船は復活するのでしょうか…乗って見たいなぁ!



桃の木山の家6:40…7:25平等嵓…吊橋7:40…7:47にこにこ滝8:00…8:15猪ヶ淵8:30
…9:17千尋滝9:34…10:20宮川出合10:30…11:20大日嵓…11:30宮川第一発電所
=(車に拾ってもらって)六十尋の滝=大台町自然の家=宮川ダム水門=大台町町営バス(一時間三百円)
=奥伊勢道の駅…三瀬谷駅みえ号乗車16:52=22:30自宅


2013-10-30