2013年3月7日木曜日

頸城山域 2 火打山

焼山登山の感動が忘れがたく、再び新たな四人の仲間と上ってきました。
新潟県妙高市の妙高高原公園線が除雪されるのを待って4月15日笹ヶ峰(標高1300m)に入り、除雪の済んだ舗装道路を約一時間歩いて登山口の杉野沢橋に到着しました。
新潟・妙高高原から杉野沢林道と妙高小谷林道で長野県・小谷温泉まで東西に抜けられますが全線開通するのは真夏になってからのようです。
昨年は妙高小谷林道の長野県側・天狗原山登山口から登り、今回は新潟県側の杉野沢林道からバリエーションで天狗原山へ上りました。


2009/04/16 杉野沢橋の下を雪解け水がゴーゴーと唸りを上げながら流れて行く。
スノーシューを履き、真川沿いに滝沢の出合へと辿る。
歩き始めて10分、真川の土手を越えようとした時アクシデントが起こった。
前二人がスノーシュウを履いたままバックで降りていった。
続く私が足を上げ体勢を入れ替えようとしている間に、後の人がスタートしたと勘違いして前に出てきてしまったよう。
振り向きざま挙げた足の置き場所がなくなった私はバランスを崩して背中から落ちた。
気が付くと真川の岸に足を投げ出し止まっていた。右足のくるぶしに激痛が走る、やってしまった…。
テーピングをしてそおーっと立って歩いてみる。この程度なら我慢できるかもしれない。

杉野沢橋を渡るとき虹をみて、「この虹に守られる!」と思ったのに怪我をしてしまった…いや、虹を見たから「歩ける!」。
痛めた足が右だったので登りづめの天狗原山では大事な軸足が使え、体重の負荷が少なくて済み、雪も着地の衝撃を吸収してくれた。不幸中の幸いだった。

真川と滝沢の出合で右の1427の台地尾根に取りつく。勾配が急でずっと辛抱の上りが続く。
台地を横切り沢地形を1701に詰め、さらに苦しいのぼりで薬師岳稜線のピーク1849に乗った。
エスケープに予定した裏金山と金山の中間尾根が正面に、北奥に焼山と火打山の雪嶺が見えるが、まだ遠く遥か。
天狗原山の亀裂を這わせた急斜面が目の前に迫る。風が強くなる。SAMさんが亀裂を巧みにかわしながらトレースをつけていく。後続4人は一ヶ所だけに荷重をかけないように間隔を空けて登る。
13:20、みんな頑張って、天狗原山の山頂にたどり着いた。乙見湖は雲海の下、私たちは雲上に乗った。
昨年よりは金山寄りの鞍部にテントを張った。設営作業の間、私は皆さんに甘えて、雪で足を冷やさせて貰った。
おかげで翌日も歩くことができた。

2009/04/17 午前五時テントをたたんで出発。雪が降りやんだ明け方にガスが出てきた。
広大な金山の下りで先頭が稜線を外しそうになり、呼んでも声は雪原に吸われて届かないので笛を吹いて知らせる。
裏金山から富士見峠まで無雪期は激藪らしいが、雪のお蔭で稜線が歩ける。ガスの切れ間から焼山が姿を見せる。
富士見峠で一服、ガスが流れて青空がのぞく。
前回見過ごした泊り岩を確認する。岩小屋には分厚い発泡スチロールが敷いてあり避難小屋としての用は十分のよう。





露岩帯でスノーシューからアイゼンに履き替えほっとする。
焼山前衛の岩峰をロープで登る。
11:20 焼山山頂、いいね、いいね!この山の魅力は尽きない。遠いこと、仲間の助けがないと辿り着けないことも魅力の大きな要素。

焼山東峰南面の下り、思い切って太ももを蹴り込む。
踵が浮かないアイゼンは、足首が固定されてスノーシュウーに比べると下りは断然楽、標高差360mを降る。
先頭から待っての声、SAMさんがロープを持って上り返してきた。
黙々と下って来たので辺りを見回す余裕はなかった、なるほど急斜面。
標高2200㍍から2050㍍まで等高線の間隔が詰んでいる、現在地は2100㍍、ロープがあれば助かる。


2ピッチ60mで鞍部に降り立った。
みて見て!焼山山頂からスキーが描いたシュプールのように私たちのトレースが続いていた。

難所の洞技切戸は残雪を利用して難なく通過。高谷池ヒュッテまではまだ少なくとも2時間はかかりそう。
ここらで行動を打ち切るべく幕営地を探しながら上って行き、影火打手前の小ピーク(H2350)にテントを張る。
絶好のロケーション、特に雨飾山の夕焼けも朝焼けも見事だった。
これでま関心がなかった雨飾山、なんて素敵なんでしょう、一挙に登高意欲を掻き立てられた。


2009/04/18 テントを撤収して6:25に出発。影火打と火打山の鞍部で風に吹かれてアップアップ。
極端に丈の低いもじどおりの這松でも風除けになるらしくハイマツ帯に入ると一旦風は収まるが、
抜けると烈風にみまわれる。
07:05山頂で記念写真を撮ると早々に高谷池ヒュッテに下る。高山植物で彩られる天狗の庭や高谷池は未だ雪原。

高谷池ヒュッテでは恒例の「トイレ堀」が行われたそう、SAMさんの知り合いを探すが、一仕事終えた彼らはテレマークスキーに出かけた後だった。
SAMさん一緒にスキー滑りたかったんだよね !
せめて冷凍ビール(昨年の残り物300円)で我慢してくださいね。ビールを飲みながら雪原でまったり。
焼山を筆頭に火打山・金山・天狗原山、今回もやっぱり心震わされた。
頸城の山々のますます大ファンになった。

火打山からは「トイレ堀」の人達のトレースに楽させて貰って、11:45笹ヶ峰に下山できた。


04/15 自宅14:00=妙高高原IC19:00…杉野沢橋登山口近く(テント泊)

04/16 登山口5:55…6:50杉野沢橋6:55…8:00真川と滝沢出合…1427台地
    …10:50標高1849p11:00…13:30天狗原山14:20…14:52幕営地(標高2200)

04/17 幕営地5:00…5:32金山(H2245)…7:17裏金山…8:26富士見峠…10:15焼山前衛峰10:50
    …11:20焼山山頂11:35…12:00ロープ地点…焼山鞍部13:00…13:50洞技キレット
    …15:30幕営地(影火打手前のピーク)

04/18 6:34影火打…7:05火打山7:10…8:20高谷池ヒュッテ9:03…9:25富士見平9:30
    …11:45笹ヶ峰12:25…=妙高高原=18:20自宅 


余談
火事場の馬鹿力といいますが、山ではアドレナリンが大量に出たようです。
帰宅後一週間は、家では這って過ごしました。

2009-04-15~18 登山

百名山100/52座





2 件のコメント:

  1. かしまさん

    懐かしい山域の美しい写真を見て、思い出にふけっています。
    大学卒業後、10年近く上越市に住んでいたので、この頸城山塊は、私のホームグランドでした。

    当時は笹ヶ峰ダムと小谷への林道が建設中の時期でした。
    焼山も水蒸気爆発する前で数度登ったことがあります。
    今でも鮮明な記憶に残っているのは、雨の最中、笹ヶ峰ダム上流から焼山、雨飾山へと1日で縦走したことです。

    1年中楽しんだ山域のおかげで、女房も見つけてしまいました。

    いつも美しい写真に驚嘆しています。

                       yamajinn

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  2. 青春のホームグラウンドが頸城の山々なんて凄く羨ましいです。
    頸城の山はロマンスまで育んでくれたとはなんて素敵なんでしょう!

    韋駄天yamajinnさんが駆け抜けた、金山からシゲクラ尾根で雨飾山のルートはずっと歩きたいと思いながら果たせずにいます。
    私ももっと早く、体力のあるうちに頸城の山と巡り会いたかったです。

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