2017年9月9日土曜日

大山南山稜 野菊と信仰の道から大山へ

2017年09月10日(日)
手首の骨折で、夏山シーズンを棒に振ってしまいました。
丹沢大山南山稜で、萎えた筋力やバランスを整えます。
山麓から小峰を9ッ踏んで頂稜の大山まで9.5K。

信仰の道は、変化に富むやさしく静かなコースです。

【山名】 念仏山標高357m・谷戸ノ頭標高454m
高取山標高556m
     浅間山標高679.5m・大山標高1252m

【山域】丹沢 大山南山稜

【コースタイム】乗馬クラブ7:35…7:40山道入口…7:47鉄塔鶴巻線
1…標高300m三角点…8:16念仏山8:20
              …8:35カゴノキ8:40…8:42430峰山頂8:45…9:04454m峰山頂(谷戸ノ頭)9:09
              …9:43高取山9:50…10:05不動越…474峰…小蓑毛分岐C.530m
              …10:47NTT中継所11:00…11:05浅間山山頂11:10…11:25蓑毛越11:40
              …11:50大山蓑毛道分岐…11:55五体地蔵12:00…12:20女人禁制の碑12:22       
              …12:24西の峠…12:4516丁目追分…13:20大山山頂13:45
              …ヤビツ峠下山14:55…15:51秦野駅行きバス乗車


秦野駅7:00発「曽屋弘法」行きバスに乗車、終点で下車。(平日運行、当日はタクシー利用)
道なりに東に上って行くと5分で「秦野国際乗馬クラブ」のある十字路に出ます。
急坂を進んだ2つ目の十字路から50mほど直進、舗装路が右にカーブする辺りで
左手の山道に入ります。(鉄塔巡視路、入口には表示が一切ないので見落とし注意)
駅からバスでアプローチができて、賑やかな弘法山周辺を迂回できます。


山道は、鶴巻線1の鉄塔の前に出て善波峠から上って来る登山道に出合います。
クヌギやコナラの自然林に挟まれた尾根道に樹間を透かして朝の光が散ります。
出かけてきてよかったぁと思う瞬間です。


野菊の清楚な花にはまだ会えないけれど、固い蕾のカシワバハグマを見つけました。


鹿柵と鉄塔東秦野線NO14を過ぎると念仏山は直ぐです。

 2017-09-05撮影
念仏山は、南主稜線上の9峰中最も見晴らしが利きます。
西と南方面の富士山や箱根・江の島を望み、風に涼みながら汗がひくのを待ちます。



山名通り、麓の名古木村の念仏講がこの山頂で1940年頃まで続いていました。
20年余り昔、念仏山自然観察会に参加して教えて貰ったフレーズが、
「茎が丸いナルコユリは、マルコユリ」一方「茎が四角のアマドコロは、カクドコロ」
と覚えてください。
忘れず覚えています。


こちらも覚えていたバンビの木、正式名称はカゴノキ(鹿子の木)です。
鞍部から430m峰に登り返す途中、自然林に育つカゴノキを登山道から見られます
樹皮が斑に剥がれ落ちて幹にできた模様が「鹿子」に似ていると名づけられました。


     名残のツリガネニンジン
430m峰のピークを踏んで巻いてくる登山道に戻った後、暫くすると人声がします。
最初は近くに登山者がいると勘違いしたのですが、決まって聞こえる場所があることから、西側山腹にあるゴルフ場から風に乗って届くプレヤーのものと気づきました。
麓が近いと、非常の場合に素早い救援が可能ですし、この稜線は登山道とは別に、信仰の道や地図にない仕事道もあってエスケープルートが多く安心です。
更にゴルファーの声を届ける涼風は、暑い夏の低山にはなによりのプレゼントです。




登山道は454m峰の西側を巻きますが、古びた【山火事注意】の標識と直に
スーッと伸びた尾根とのマッチングに心が動き、足が自然と山頂に向かいました。
檜の伐採材が転がる山頂の立木に、誰か残した「谷戸ノ頭454m」の8文字です。
登山道に戻る際下降の尾根が急で、体のバランスを欠く今、どこよりも厄介でした。


高取山山頂の三角点 2017-05-08撮影
張り出た木の根が露わな標高差150mの急登を20分喘いで高取山に着きます。
三角点にベンチが二つと西側奥にNHKの電波塔があり、東側の展望が利きます。


高取山から標高を落として446mの不動越まで下ります。
西山麓の小蓑毛から上って来る登山道と大山子易からの大山古道(坂本道)が交わる四辻で480年の間見守り続ける、修復痕のある、不動明王像が建っています。




鞍部で林道を横断するとこの指導標に出合います。
私がこれから向かう「大山山頂2時間」の表示、「嘘でしょう」とつぶやきます。
ここから大山までは99%上りなので、私の足では休憩込みで3時間かかります。
巻かれた紅白の帯は、トレイルランニングの大会でもあるのでしょうか。
普段でも登山者より駆ける人(トレイルランニング)が多い大山南山稜です。



防火帯のように広い道幅になり赤い実をつけたサンゴジュノの並樹が続きます。
不動越から大山までの間で唯一富士山が見える鉄塔のある切り開き、
惜しいかな富士山は雲の中です。
付近は架線作業の工事中でマットを敷いた迂回路を歩きます。
一輪車の深い轍の斜面は滑りやすく、咄嗟に手をつきそうになりヒヤリとします。


マルバフジバカマの群生が登山道沿いのあちこちで見られます。




大山南山稜の空を5基の電波塔の電波が飛び交います。
やがて大山南山稜の地下を第二東名のトンネルが貫き、流通の大動脈が走ります。




参考;小蓑毛の登山口近辺で続く、第2東名トンネル掘削現場



登山道を離れ標高679mの浅間山山頂に直登します。
柵に囲まれた電波塔の右手、標識も展望もない山頂に三角点を確認します。
そのまま北西に進んで、繁ったススキを5m程漕いで登山道に戻ります。




蓑毛越のベンチで、ご夫婦と単独の男性がお二人食事中です。
アブラチャンノ木の傍の空いたベンチに座らせて貰い、一息つきます。
風が運んでくる木々の香りを目を閉じて静かに深~く吸い込みます。
足元に青いアブチャンの実が転がっています。




蓑毛への道を分け眼の前にみえる登山道に入り、均した痕跡のある石の道は信仰登山の名残でしょうか、食後にはいささか苦しい坂道です。

蓑毛からの道を合わせて間もなく、首のない【五体地蔵】に丸い石がのせてあります。







なだらかな滋味深い土の道を行きます。
念仏山では終わってしまった茸が、ここではまだ見られます。
傘の裏側から光を透かてみる茸の繊細な美しさを楽しみます。


女人禁制の石碑が建っています。
盛んに大山講が行われた江戸時代、女性はここから戻らされたのですね。
老若男女の隔てなく登山を楽しむことができる自由な時代に、感謝します。



大山阿夫利神社下社からの裏参道を合わせます。
檜の樹林帯に拓かれた九十九折れの石の道を上って行きます。



16丁目追分で下社からのメジャールートに合流すると、途端に人が溢れます。
休日の今日、両親に連れられた幼児や小学生の子供達が元気に登って来ます。
広い世代に愛されることでは、丹沢の中にあっては大山が一番でしょう。



蓑毛越辺りから広がり始めた霧が標高をあげるほどに濃くなって、景色がやわらかい簡素な色合いに包まれます。



山頂は腰かける場所を探すのも大変な程、多くの登山者が登って来ていました。



木の根方に腰を下ろして剥いてきた梨をいただきます。
木の幹に見たことのない虫がいて、8本の足で動く様子が興味深く、
飽かずながめていたら…あら、いやだ、こんな時間!




ことし初めてのヤマホトトギス
一番安全で時間のかからないヤビツ峠へイタツミ尾根を下山します。
今日一番の下り、転ばないよう気をつけて休憩もとりながら慎重に歩きます。
14時台のバスが出たばかりでした。
待ち時間が1時間もあるので、柏木新道で下ろうか、頭をよぎりますが、
今日の処は止めておこうと、バスを待ちます。
車窓から大山南山稜を眺めて、転ばずに歩きとおせてなによりだったと安心します。










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