宮城県と山形県にまたがる東西30K、南北25Kの船形連峰の主峰です。
私の所からは、アプローチに半日掛る山ですが、
初日に升沢避難小屋まで入っておくと、2日目は泉ヶ岳まで足を延ばせます。
下山後、泉ヶ岳キャンプ場から路線バスで地下鉄泉中央駅に戻れるのも便利です。
2017年10月04日(水)小雨霧~05日(木)霧☁
【山名】船形山(御所山)標高1500m 蛇ヶ岳標高1400m
三峰山標高1417m 北泉ヶ岳標高1253m 泉ヶ岳標高1172m
【山域】奥羽脊梁山脈 船形連峰
【コースタイム】10/04 仙台駅9:20=泉中央駅BS9:57=10:38吉岡上町BS=大和タクシー営業所11:00
=11:40駐車場11:50…升沢登山口12:00…なめこ収穫12:10…旗坂平12:22
…山光の宮入口14:00…瓶石14:35…14:50升沢小屋
10/05 升沢小屋5:35…6:55船形山山頂7:25…千畳敷7:42
…8:40蛇ヶ岳8:45…9:30三峰山9:45…10:07三峰山東ノ肩10:17
…11:55熊ノ平…水源12:05…12:10なめこ収穫12:35…13:05北泉ヶ岳13:20
…三差路13:50…14:25泉ヶ岳15:00…16:30泉ヶ岳自然ふれあい館17:05バス
=泉中央駅=仙台駅18:57=小田原21:31
升沢登山口へは吉岡からタクシー(大和タクシー022‐345‐2181¥6050)に乗ります。
車を降りると、ポツリと雨が落ちてきました。
4日午後は☂予報ですが予想降水量は0mm、太陽がでているし直に止むでしょう。
駐車場のふくろう橋を渡った一段上にきれいなトイレがあります。
奥に延びる林道を歩き始めるとまたパラパラと雨、念の為ザックカバーを付け、雨具はすぐ着られるように雨蓋の下に移します。
5分程歩き㉚標識からやや急な尾根に取り付くと、もうそこはブナの森の真ただ中。
ブナの傘を滑り落ちた雨粒が顔にかかりますが濡れるほどではありません。
林床にトチバニンジンの赤い実とルイヨウショウマの黒い実が一緒にありました。
トチバニンジンは栃の木の葉に似ているから、ルイヨウショウマは升麻の葉に似ているから、互いに似た葉をもつ植物から名前を貰っています。
広い登山道の真中に立枯れたブナを回込んだ相棒が、「なめこ!」と声を挙げます。
群生する天然のナメコにであったのは初めて、つやつやぷっくりまんまるです。
チョット考えてから、折角だからと今夜の味噌汁の実に二人分収穫します。
㉗旗坂平で傾斜が緩み、ブナの雫で体が湿っぽくなってきたところで雨具を着ます。
升沢コースの尾根の紅葉はカエデがちらほら色付いた程度、標高1000mで登山道が山腹を巻き始めるとブナにシラビソや灌木が混ざるようになり、㉑鳴清水辺りから標高1230mの⑧升沢小屋周辺が紅葉の見頃でした。
登山口から3時間で2階建ての可愛い升沢小屋に着きました。
今宵は紅葉に包まれた綺麗なこの小屋に泊めて貰います。
収容人員は詰めあって20人程、扉を開けた突当りにバイオトイレがあり、
外からも居室からも使いやすい位置です。
居室は中央に切られた土間を行き来する為、寝ている人に気兼ねなく動けます。
高床式で窓の位置が高い為室内が明るく、床下は倉庫として活用されています。
インドネシヤからの登山者が、「山の中にこんな良い家」と書き残すのも頷けます。
水場がそばにあるので大助かり、登山道になっている沢の水を煮沸して利用します。
小屋と熊さんに挨拶の鐘を鳴らします。
山の食料は、装備の軽量化優先で多くの場合フリーズドライですが、
きょうは天然ナメコの味噌汁つき、贅沢です。
2日目、お湯を沸かして朝食、身支度、掃除と済ませて5:30スタートです。
小屋前から数段下り沢に、川床の石のペンキ印や木の枝の赤布を拾いながら、
標高差170m弱、沢の中を歩いて標高1428mの船形山南稜線に詰めます。
登るにつれ西側からの強風に見舞われ、途中で登山道が2本に分岐する辺り、
吹きさらしの西側を避け内側の灌木帯の道を選びます。
山形側の観音寺コースが出合うと山頂と小屋が見えてきます。
一等三角点にタッチ、思えば最近は霧づいて☀の登山にちっとも当たらない。
紅葉が終い初雪を待つだけの船形山、他に上って来る人もないようで二人きりです。
小屋を借り熱いコーヒーを、侭ならない時期があって相棒と泊りの山は4年振りです。
小屋の中央にまきストーブ、ありがたいことに歩荷の薪が積んであります。
往路を千畳敷に戻って右の尾根道に入り、灌木と笹が茂る縦走路を辿ります。
濡れた笹をかき分けながら進むと、蛇ヶ岳の鞍部で笹を刈る人達に出会います。
この先の三峰山でも、実は船形山山頂でも私たちと入替わりに登って来たお二人。
この天気ですから、登山者には初日に下山中の一人と会っただけで、登山道整備の方には10名とお会いしました。
「登山道も山小屋も守人のおかげで安心安全に利用できる」と、思いを新にします。
後白髪山(うしろしらひげやま)と三峰山(坊主)の分岐を左にとって長倉尾根に入ります。
天候が次第に回復の兆し、装いの船形連峰が、姿を現し始めます。
しかし、振り返り眺める船形山には、依然として雲が垂れ込めています。
奥の2つ並んピークが北泉ヶ岳と泉ヶ岳、きょうのゴールはまだ遠いなぁ。
三峰山の急降下に「ここを登るのは骨が折れそう」、逆コースに胸をなで下ろしますが、北泉ヶ岳の登りも似たりよったりで、ヘロヘロになりました。
三峰山の急降下が20分で一段落します。
草を刈る人達が「坊主」と呼んだ三峰山、三峰山の東肩から振り返ると坊主に納得。
1時間前に分岐を分けた後白髪山うしろしらひげ山の大きな山容が目を引きます。
頂稜部を地図で見ると、見えている割には傾斜があります。
西方の後白髭山から南にみえる湖は大倉ダム、日本に1基だけの珍しいダムだそう。
長倉尾根は、名前の通り長い尾根ですが、展望と原生林に恵まれ変化に富みます。
三峰山の急傾斜が終わりると登山道は深い森に入って行きます。
登山道の立ち枯れの木や朽木に茸が生っています。
茸は原則採取しないのですが、今回幸か不幸か天然ナメコの味をしめ、
道端にさりげなく出ているナメコに無関心でいられず、採取してきました。
家族にナメコおろしを振る舞い、「美味しいでしょう」と得意満面です。
笹藪と泥濘が少々うるさい緩傾斜のブナの広尾根を最低鞍部まで下ります。
ブナの美しい森に、唐突に地図にない林道が交差して「熊ノ平の」標識を見ます。
上ってブナの木が2~3本ある広場の幕営地に着き、「水源」の標識があります。
また少し等高線が混んだ段差のある登りを凌ぐと、 北泉ヶ岳山頂に到着します。
三叉路まで下りきると最後のピーク泉ヶ岳へ、白樺の林を上って行きます。
ヤレヤレ山頂~、泉ヶ岳にも誰もいません。
予定では15時のバスに乗る筈でしたが…最近は毎度感じるのですが、以前より明らかに体力が落ちて、コースタイムをオーバーすることも珍しい事ではなくなりました。
途中からブナの森をゆっくり堪能しようと、キノコ狩りも、17時のバスに変更しました。
のんびり時間調整して、水神コースを泉ヶ岳自然ふれあい館のBSに下ります。
後半から天気がすっかり回復して、下山路から今日辿って来た稜線が展望できます。
船形山の遥かな道、ポツンと見えている山頂小屋、升沢小屋を出発してからの今日一日を思い返して、改めて稜線を眺めます。