静岡と神奈川の県境にはいくつかの金太郎伝説が語り継がれています。
中でも足柄山で熊と相撲を取った昔話は有名ですが、これらは江戸時代には浮世絵や歌舞伎に登場し、
既に猪鼻嶽と呼ばれていた箱根外輪山を改に「金時山」と命名するほど金太郎伝説はもてはやされたそうです。
今回はマサカリ担いだ金太郎が闊歩したであろう足柄を起点に【金時山】に上ります。
スタートは南足柄市の道了尊(曹洞宗、大雄山最乗寺)です。
久しぶりに訪ねた道了尊は、“こんなにいいところだったかしら”と懐かしい気持ちがしました。
正面の石段を上がると、開け放たれた本堂の天井から吊り下げられた天蓋に、目を奪われました。
鐘楼は彫刻が施されて凝った造りです。
辺りの景色と相まって、紅葉の頃は一段と趣深いことでしょう。
多宝塔や不動堂を過ぎ行き、山水庭園の赤い橋を渡ると、左右に烏天狗と天狗が安置された結界門が現れました。
雰囲気のある結界門をくぐると、道了尊の真骨頂、長い石段(350段程)連続して御真殿、奥之院に導かれます。
御真殿は最乗寺が道了尊と呼ばれる本丸、天狗の高下駄が小から極超大まで境内に奉納されています。
ここからも明神ヶ岳に上る登山道がありますが、きょうは奥の院から出ている破線の登山道を行きます。
こちらの方がいかにも結界門らしい門をくぐると、石段は奥の院へと上り詰めます。
石段の途中、ここにも天狗さまが両脇に安置されています。
奥ノ院を過ぎると漸く登山口に到着です。
金時山は矢倉沢峠からさらに45分ですから、4時間以上かかります。
紅葉にはまだ間のある林にはトリカブトが群生しています。
毒草と知ってか鹿が食べないトリカブトは、この先もっと増えるのかもしれません。
トリカブトに負けないくらいサラシナショウマも咲いています。
サラシナショウマとトリカブトの白と紫の花色だけではどこか淋しくて、
足元のヤマボウシの赤い実は貴重な山の賑わいです。
9:30、2時間半かかって稜線に出ました。
分岐から左に10分で明神ヶ岳ですが、寄り道せず右に金時山に向かいます。
苅川峠へ抜ける稜線はウメバチソウやセンブリ、マツムシソウ、シオガマギクなど秋の花がたくさん咲いていました。
ノコンギク コウゾリナ
アケビの谷を抜け、ハコネタケの一本道から矢倉沢峠に下りはじめると金時山が大きく展望されるようになります。
見えている急登も45分我慢すれば山頂です。
1m低くなった標高は訂正されて1212mになっていました。
連休の中日、たくさんの登山者です。
大きな山頂標の前では横断幕を広げて登頂400回の記念撮影中でした。
展望ははっきりしませんが、大涌谷や芦ノ湖が何とか確認できます。
お隣のパーティはシャンパンでお誕生祝いです。
きょう初めて富士山が見えました。
この展望所から直進すると足柄峠ですが、私たちは右折して「金太郎コース」に入り、夕日の滝に下山しました。
夕日の滝にあった案内板です。
地蔵堂と呼ばれる地名のこの辺りも金太郎伝説の里です。
「金太郎の生家跡」があります。
夕日の滝
1月中旬、夕日が滝壺を照らす日がたった一日だけあるそうです。
2014‐10‐12登山
6:26(電車・車)=大雄山最乗寺境内7:05…本堂…鐘楼…結界門…御真殿…奥ノ院…7:30明星ケ岳登山口…明星・明神ヶ岳分岐9:30…火打石岳…11:20矢倉沢峠…うぐいす茶屋11:40…12:20金時山頂上13:07…13:31夕日の滝分岐…丸鉢山…14:45夕日の滝15:05…15:20地蔵堂15:25(バス)…関本16:03道了尊(大雄山最乗寺)16:15(車・電車)=自宅17:30