山のリスト

2011年12月21日水曜日

花の山 荒川三山と聖岳

 
 畑薙第一ダムに向かう予定の私達でしたが、あれまぁ~!乗るはずのバスは821で終了。

バス停に同じ勘違いの人がもう一人、4人で割勘してタクシーで入ったのでした。

相乗りU氏(以後うっかりのUU)とは縁あってこの後もご一緒しました。

畑薙第一ダムから先、椹島までは東海フォレストのバスに乗り換えるのですが、猛威をふ

るった8月の第4台風で道路が崩落してしまい、シャトルバス乗り場までは20ばかり歩きます。

しかしちょうど通りかかった軽トラックに拾って貰いました。

はて!この旅はついているのかいないのか?

椹島登山口を1015分いちばん最後から千枚小屋への登りについた私達です。
シラビソの樹林の登りは結構苦しいアルバイト、暑さもこたえます。
清水平の水場になかなかたどり着けません。樹林の中の傾斜のある岩地にありました。
沢山の人が階段状の岩に腰を掛けて休んでいました。
伏流水が地上に現れて5㍍ほど流れています。500CCペットボトル一本に水を詰めました。
 
 
道端に一本のトモエシオガマをみつけて二本三本と目で追っていたらウオー!
大花園が目の前に広がったのです。千枚小屋は花園の真っ只中にありました。
きれいな小屋は宿泊客でごったがえしていました。
食事はおいしくて、大きな唐揚が5個、キャベツの千切りがたっぷりついて、
冷奴に箸休めそして味噌汁とご飯のお代わりは自由でした。
 
千枚岳への登山道はしばらく花園の中を行きます。
太陽が昇りはじめたのでしょうか、富士山の東の方角が彩づき始めました。
立ち止まっては焼けていく富士山をながめます。
千枚岳の山頂でU氏と一緒になりました。テルモスの湯でコーヒーをいれて乾杯です。
 
 
その時、氏が縦笛をとりだしました。名峰をながめながら、贅沢な時が流れました。
サプライズはこれだけではありませんでした。
花です。花のオンパレード、タカネマツムシソウ・ウサギギク・イワインチン
ヨツバシオガマ・タカネヒゴダイ・タカネビランジ・イワオトギリ・ミネウスユキソウ・
イブキジャコウソウ・トウヤクリンドウなど咲き競っていました。
 
 
 
百花繚乱、これ程のお花畑これまで見たことがありません。
Oさんが、写真を撮るのに夢中でなかなか前に進みません。業を煮やしたTさんが
さっさと先をいってしまいました。U氏がTさんと一緒に歩いて呉れるようです。
 
 
 
荒川前岳カールのお花畑もそれは見事でした。
荒川小屋で千枚小屋特製のいなり寿司弁当を食べ、水を1㍑補給して出発です。
大聖寺平で休み、ダマシ平で休み、三たび小赤石岳の鞍部で休んで3081㍍
小赤石岳に着いたときは、赤石岳に着いたと勘違するほど皆疲れていました。
  
小赤石岳と赤石岳の鞍部から東尾根(大倉尾根)が延びて稜線近くに赤石小屋の
赤い屋根が見えています。今日はあの小屋にしようかと本気で考えたほどです。
よれよれになって着いた赤石岳にU氏が、温かいココアを作って待っていてくれました。
 
 
 
 
 
乾杯!赤石岳と書かれた標柱にカップをかざして記念写真を撮りました。
エスケープルートを選択しようかと思い始めていたはずなのにU氏に再び会えたことで
気持ちが楽になり、最初の予定通りに進めることにしました。
 
百軒洞山の家は沢が流れる谷間にありました。ウッディーな三階建の綺麗な小屋です。
食事はトンカツ・キャベツのセンギリ・カボチャの煮物・椀ソバ・味噌汁・ごはんと
これが山小屋の食事かと疑いたくなるような内容で驚きました。
横になって長かった今日の行程を振り返り、なかなか寝付かれない夜でした。



U氏に今日も同行させてくださいとお願いしました。
:40小屋を出発して一時間ほどで大沢岳と中森丸山の鞍部に着きました。
標高55位の大沢岳に私だけ往復しました。
中森丸山へは約一時間の急登です。恵那山が西に姿を現し、きのう辿ってきた山々
も北アルプスも望めます。
カメラを据えた先客がいました。昨夜、焼石岳の花の見事さを語っていた人です。
84歳だそう、私もこの人の様に元気でいつまでも山に登れますよう願わずにはいられません。
中森丸山の急斜面を下った小兎岳との鞍部の水場はあんがい遠いようです。
迷ったのですが、皆水は十分持っているようなので寄らずに進みました。
小兎岳を過ぎ標高差150㍍の兎岳の急登はいささか苦しく荒い息をつきました。
それだけに見事な展望はうれしく、とりわけ赤石岳と荒川岳の間隙にスクッと
雄々しい姿をみせている甲斐駒ケ岳に感激しました。
私はやっぱり甲斐駒ケ岳が好きだと改めて思いました。
 
 
 
 
目の前の聖岳は大鷹が羽を開こうと両肩をグット持ち上げようとする姿のようで迫力があります。
兎岳からの下りでは遠山川西沢源頭の崩壊のすさまじさを見せつけられて動揺しましたが、一方その崩れ落ちる断崖に咲き誇る花々、ウサギギク・チシマキキョウ・タカネマツムシソウ・ミヤマセンキュウ・ミヤマシオガマ・ミネウスユキソウ・タカネビランジ・シロウマオウギなど健気さに心うたれました。
兎岳と聖岳の鞍部から赤紫色の岩が目立ちます。これがラジオラリヤ盤岩といわれるものでしょうか、その岩道を喘ぎ登るとやがて樹林帯を行くようになり更に傾斜が増して広いハイマツ帯があらわれます。
すると聖岳らしき岩稜が頭上に大きく迫ってきました。しかしそれはニセ聖、
聖岳はさらに先へと進まな ければならないのだそうです。
がっかりして、とぼとぼと岩屑の道を詰めると今度こそ本物の南アルプス最南端の3000㍍峰、聖岳山頂に到着です。赤石岳が雄大な姿を指呼の間に横たえています。
 
 
 
 
 
朝出てきた百軒洞山の家の赤い屋根が緑の谷間に鮮やかです。
奥聖岳の山頂には三等三角点があり、赤石岳が牛のお尻を真後ろから見たような姿で
一層まぢかに、いまにも手が届きそうです。あれほど歩いた時間が嘘のようです。
時々ガスが流れるようになり富士山は頭二分しか見えていません。
下山の時がきたようです。岩礫の滑りやすい道がジグザグを切って下ります。
私はダブルスットクをとりだして実地練習です。
 
 
 
 
小聖岳を通過して樹林帯に入るとミヤマトリカブトの群落が目を楽しませます。
色彩が鮮やかで枝もたわわに垂れる程の花数がついています。トリカブトは
ート上で最も多くみかけた花です。荒川の稜線では背丈が低く20㌢ほど、
強風にあおられる心配のない林床では1㍍近くあります。
ミヤマトリカブトとならんでキオンも今が盛り、鮮やかな黄色が印象的です。

樹林を抜けると易老渡(便ケ島)への登山道が分岐する薊畑の草原にでます。
ここも大花園がひろがります。タカネコウリンカ・イブキトラノオ・ウメバチソウ
・タカネナデシコ・イワシャジン・ツリガネニンジン・アカバナ・ミヤマダケブキ
・オヤマリンドウなど咲いていました。
この景色をもっとゆっくり楽しみたいOさんは「皆さん先に山小屋にいってください」
と残る構えです。
ビールを飲みたいU氏とTさんが先に行き、Oさんと二人で薊畑から朽木が散乱して
独特な雰囲気の聖平をゆっくりと辿りました。
驚いた事に丹沢同様、ここにも鹿除けの柵やネットがありました。もともと薊畑はアザミが聖平はゼンテイカ(ニッコウキスゲ)が一 面に咲いていたのが鹿の食害で絶えてしまったのだそうです。朽木はもしや鹿にかじられて枯れたのでしょうか。

ルートに初めての木道を辿ると聖平小屋はすぐでした。ここも混み合っています。

水が豊富なので洗濯ものが干し場にたくさん吊るしてあります。トイレも水洗です。

ただしトイレは遠くて夜は肝だめしの覚悟が必要です。

食事はこれまでが特別だったのですね、聖平小屋は普通でした。

5:00聖平小屋を出ました。長かった山旅もいよいよきょうで終わります。
終わり良ければ全てよし、OさんTさんお疲れ様!ありがとうございました。

そしてU氏というかけがえのない道連れに恵まれました。
勘違いの縁で一緒に歩いてもらったU氏、静かな山旅を期待しての単独行だったのでしょう

そんなことお構いなし、渡りに船とばかりに色々と助けていただきました。
圧倒的な花の競演に興奮してしゃべりまくり、撮りまくりのOさんに

あの人は声も撮りはるから!」と、静かな人でしたが、おちゃめな人でもありました。
ありがとうございました。偶然またどこかの山で出会えると嬉しいですね。
 
 私たちの山旅はついていましたよ!


 
8/24新静岡5:40(タクシー2)7:40畑薙第1ダム→畑薙第1ダム9:0010:00椹島10:15→1P 10:4513:10清水平→5P14:206P14:45→駒鳥池15:1016:30千枚小屋
 
8/25小5:005:45千枚岳→7:00丸山→7:30悪沢岳→8:40中岳→9:10前岳→10:10荒川小屋10:5011:20大聖寺平→ダマシ平12:003030P→鞍部12:3012:50小赤石→13:20赤石岳13:5014:45P282715:10百間平→15:50百間洞山の家()
 
8/26小屋4:40→1P5:456:05中森丸山→小兎岳7:00→兎岳7:458:35兎岳とP2796鞍部→6P9:2510:05聖岳山頂→奥聖岳→奥聖岳11:4012:30小聖岳→13:30薊畑→聖平→14:00聖平小屋 
 
8/27 5:00小屋→聖沢吊橋→8:50聖岳登山口→9:30椹島10:40→静岡14:26→自宅18:00

百名山 悪沢岳100/34座 ,赤石岳100/35座 ,聖岳100/36座

2007-8-24~27 登山




 












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